「は?ふざけてんのかお前…」


ドスの効いた声で、敏が言う。

しかし、私は恐れない。


「ふざけてなんかないよ」

「じゃあなんで帰ろうとしないんだよ!」

「だって、中にまだ希夏ちゃんと俊秀が...それに」


それに、唯也も。

そう言おうとした瞬間、敏が私の手首を強く握った。


「そんなやつらどうだっていいだろ!

ほら、帰るぞ!」


と言って、敏は私を引っ張っていく。


「痛いっ!やめて!!」


私は必死で抵抗するが、敏の力には敵わない。


「また、お待ちしております。

いつでもいらっしゃってください」


執事さんがそう言って、玄関の扉を閉めた。