そう言っても、俊秀はこちらを見向きもしない。

料理に夢中なのだ。


そんな二人のことはまるでいないかのように、執事さんが私に


「それで、どこでゴキブリを見たのでしょうか?」


と質問してくる。


「えっと………あの、あそこです!」


そう言って、私は暖炉あたりを指差した。


「そうですか……。

しかし、見当たりませんね」

「に、逃げちゃったのかも…………」


と私は目線を逸らしながら言った。


結局、ゴキブリは見つからなかったということで、食堂から出ることにした。