「まあ、それは大変だわ!

厨房にでも入ったら、きっとあの人怒るに違いないわ。

あとでじいやに言って駆除してもらわないと………」

「あ、あの人って……?」


もしかして…あのジーンズの男の人のこと?


「厨房で、いつも料理を作ってくださっている方よ。

とても上手で、いつも私にお肉を______________」


と、紫織ちゃんが言いかけたとき、ヌッと私の後ろから執事さんが現れた。


「わああああ!!」


驚きのあまり、私は腰を抜かしそうになるが、二人はそんな私は気にしておらず、


「あら、じいや。

ちょうどよかったわ、八衣がね、さっきゴキブリを見たというのよ。

きっと、あの人また怒るわ。

だから、駆除よろしくね」

「はぁ…かしこまりました」


と執事さんは紫織ちゃんに言った。


執事さんはくるりと首を回し、私に顔をじいっと見る。