隠し部屋にも、唯也はいなかった。


私が隠し部屋に侵入したことがバレないように本棚を元の場所に戻し、本を入れた。


さて…次の部屋を調べることにするか。

次こそ、唯也がいればいいんだけど……。


段々と、希望がなくなっていく。


唯也は、本当に生きているの?

もう、死んでしまっているんじゃないの?


そう思ったが、私は首を横に振った。


そんなことない、きっと唯也は生きている。

生きて、私が助けに来るのを待っているんだ。

だから、私が助けてあげなくちゃ。



紫織ちゃんのお父さんの部屋の隣は広い廊下と階段を挟んで、紫織ちゃんの部屋だ。

入るのは危険だ。

紫織ちゃんに気付かれないよう、そっと紫織ちゃんの部屋の前を通る。



しかし…。


ギッ………ギッ…………と床が傷んでしまっていたのか、軋んだ音が出てしまった。