***




アイツのせいだ。




私が、こんな姿になってしまったのは、全てアイツのせい。


アイツの趣味に振り回されて、私はいつも辛かった。

いつもお腹は空っぽで、頭はあまり回らない。


一日に与えられるのは、一本の牛乳瓶とひとつのパンだけ。



肉なんて、滅多に与えられなかった。


最初に肉を食べたのは、確か私がこっそり厨房へ入ったときだった。


『お嬢様!ダメですよ、厨房に入っては』


コックが、私を叱る。


『これ………なんですか?』


私は、初めて見る肉を指差す。


『これは…お肉ですよ』

『オニク?おいしいの?』

『ええ…まぁ……』