そうだ、あのとき。

あのとき、敏になんか構わずに茉美を止めていれば…こんな……こんなことには………………。

茉美は、こんな姿にならずに済んだのに…………。



全部、全部私のせいだ。


次に浮かんできたのは、いじめられている相模とそれを見て笑っている私達。


かつては、同じようにいじめられていたくせに、いじめられている相模を見て笑ってる。


そこには、正義なんてひとかけらもない。

ただの、醜い私達。



敏がカッターナイフで相模の太ももを刺して、笑ってる。

相模は、顔を歪ませて、呻っている。


『ぐうっ…!』

『ははは、ざまあみろ。

これでわかっただろ?武器を使っても、俺には勝てないって』


敏が嘲笑いながら、ナイフを自分の胸ポケットへ入れる。


『なぁ、女子ぃー。
どうやったら、コイツ学校来なくなると思う?』

『はぁー?

顔面蹴りまくって、病院送りにでもしてやったら?』


敏の問いかけに希夏ちゃんがそう言うと、敏は舌打ちをした。