「あちっ!」


カレーに触れたときの熱さで、私は我に返った。


今……私、何をしようとしていたの?

カレーの肉を、手掴みで取ろうと…。


それはわかる。でも……。


どうして、そんな汚いことを?

私、そんな意地汚いことする子じゃないのに……。



お腹が空いているのは確かだけど、こんなことをしている場合じゃない。


あのジーパンの男が帰ってくる前に、早く厨房を調べ終えないと。



しかし、調理器具は高そうなものだけれど、特に不審な点はない。

棚も、床も、天井も、おかしいところは見当たらない。


「紫織ちゃんが厨房には入るなって言っていたから、もしかしたらここに何か隠してあるのかと思ったんだけどな………」