私なんかが、あの有名で人気な木下先生とぶつかったなんて知れれば女子の本性が私にぶち当たってくる事になる。
ただでさえ浮いているのだから、それだけは何としてでも避けたい。
だから、今日ぶつかったのが放課後で良かったと私は安堵した。

グルグルと思考させていると

『こっちこそ、ごめんね。えっと…。』

と先生が話す。
なにか言いたげだが、次の言葉は中々出てこない。
あまり関わりたくない私は、次の言葉を待つ余裕はなかった。

「すみませんでした。次は気をつけます。さようなら。」

そう言った私はそそくさと下駄箱へ向かった。

次の瞬間・・・。

『3年A組の白田雪さん…ですよね?なにか悩みがあったら聞きますよ。』

と私の名前を呼び、言った。
まるで、いつも悩んでいるのを知っているかのように。

「悩みなんてありませんよ?お気遣いありがとうございます。それでは、さようなら」

作り笑いを浮かべながらサラッと言い今度こそ下駄箱へ向かう。
先生は……
何も言わなかった。