ついた先は森だった。

 そんな山奥ではないけれど登って来ないと分からないような所。

 こんなところでどうしたんだろう?

「よし、おりるか。」

 そう言って僕を抱っこする。

 僕を抱っこする手が微かに震えていた。

 ご主人大丈夫?と僕は

「くぅーん。」

 と言う。

 そのとたんにご主人は涙を流した。
 
 ぽろぽろとぽろぽろと。

「くぅーんくぅーん。」

 ご主人は涙を拭いながら僕を地面へ置いた。

 そして僕に向かってこう言った。

「ごめんな、くり。」