『ほ、ほんとに、降ろしてください』

「ほんとに だーめ」

『蒼井先輩・・』

「俺の背中が守ってあげるから。
 大丈夫、何にも心配しないで」

先輩は口元を緩めた。

笑った・・
何でこの状況で笑えるの?

『・・・・・』

周りの視線が痛くて
私は蒼井先輩の背中に顔をうづめた。

一定の振動に揺られながら
だんだんと恥ずかしさも痛さも薄れていき
思ったよりも心地よい蒼井先輩の
大きくて広い背中の上で



私は
この人が
欲しい
と思った。