オオカミスイッチ 【完結】

蒼井先輩は、波のような人。
音もなく静かに近寄ってきて
気づいたら
なにもかもぜんぶかっさらっていく。

あぶない。
蒼井 弦という波に
飲み込まれそうだ。
飲み込まれたら・・溺れる。

「リオはさ。今まで誰かを好きになったこと、ないの?」

『全然あります。普通に誰かを好きになって、恋して、成就せずに終わります』

「ぷっ」

『いや、笑うとこじゃなんですけど』

「ごめんごめん。
 なんか、淡々と話すからさ」

『そっちこそ。
 蒼井先輩こそ、本気で誰かを好きになったことありますか?』

「うーん。どう、思う?」