「コイツが店に女の子連れてきたの
 初めてだよ」

蒼井先輩が見ていないときに
店長がこっそり教えてくれた。

蒼井先輩は、見えないヴェールを
張りめぐらせて、今まで自分を守って
生きてきたんだ。
フワフワと、親しみやすいオーラを出しつつ
しっかりガードしてる。
そうやって、今まで自分のテリトリーには
付き合ってきた女の人たちをを近づけなかったんだ。
だけど今日、私はその、蒼井先輩の
テリトリーへの侵入を許された。

これが、
いわゆる
彼女の特権、ってやつかな。

だったらその”特権”を
全部ぜ―――んぶ、
今日使い切らなきゃ。