「弦? 入るわよ」

部屋に入ると、弦が髪の毛をクシャクシャっと
かきながら、ソファに力を落として座っていた。

「何?どうしたの?あんたまさかっ」

「・・逃げられちゃった」

「クズっ」

「ち、違っ」

「女性を本気で落とそうとするなんて
 あんたらしくないじゃない。
 珍しいこともあるのねぇ」

「うるさい」

「・・本気なんだ」



「そうみたい。
 参った・・」