オオカミスイッチ 【完結】

「泣いてるの?」

『泣いてません』

「泣きそうだよ」

『泣きません』

「・・泣くでしょ、もうすぐ」

『泣きません、絶対』

私は握った手の平に
爪が食い込むくらい
思い切り力を入れた。




「あいつの前では
 泣いたくせに」



蒼井先輩は、私のキツく握りしめた手をとって
やさしく広げていった。