しばらく無言だった私たちだが、父がまた話し始めた。
「令奈……本当にすまない。
あのとき俺は、令奈たちに八つ当たりをしていたんだ。
仕事がうまくいかなくなって、イライラしていて挙句リストラされて……
それでついお前を……」
パパの気持ち……
さっきから部長に言われたことが頭にリピートされていた。
パパの気持ちを考えながらパパの話しを聞いていたが、なんとなくわかったかもしれない。
「不安だったってこと……?」
「そうかもしれない。
このままだと、お前たちまで失っちまうって思ったのかもしれない。
思い通りにいかなくてイライラしてて、だったらって思ったのかもしれない」
パパの気持ちをわかったところで、許されることではない。
不安で仕方なかったにしろ、だからといって暴力したりママを殺していいわけない。
「でも、許されることではないでしょ」
「あぁ。
令奈が俺のことを嫌いなのはわかってる。
嫌われて当然なことをしてしまったのだから。
でも、俺はお前のこと大事なんだ。
嘘だって思うかもしれない、でもお前のことも美麗のことも大事な家族だった。
だから俺は、釈放されてから何回も美麗の墓に行き続けた」
え?じゃあ、あんなに綺麗だったのもお花が供えられていたのも……
「あれは……パパだったの?」
パパは静かに頷いた。



