が、それも束の間。



(あっ!時間!)



私は不意に我に返り、

「ありがとうございました!失礼します!」

と一礼して、慌てて改札口へと走り出す。



「えっ、あぁ、うん。」

一瞬王子様が大きな瞳を更に見開き、驚く表情が見えた。



(なんてスマートに対応出来るんだろ…

しかも…凄い…綺麗な男の子…)



塾に向かって走りながら私の胸はドキドキしていた。

それは、喋れなくて緊張したから?

あるいは走って心拍が上がったから?



それにしても…

と、ふと思う。

(あのキャリーバッグ…旅行中かな?

じゃあ、もう逢うこともないよね、きっと…)



まぁいいや。



今日はイケメンさんに助けられてラッキーだった。

朝から喧嘩してイライラしてたけど、これでチャラかな?

そう思っておくことにしよう。

    *  *  *