「でもまぁ…

私が知ってる限りでだけど、昴が女の子に本気になってるの初めて見たわ。」

「いや、そんなことは…」

「え、じゃああの頃付き合ってた子で本気で付き合ってた子一人でもいた?

て言うかそもそも何人いたの?彼女。」

「え…と…」



そう言われて思わず指を折り、更に開いて数えてしまう。

それを呆れ顔で見ている夜璃子が続ける。



「しかもどうせ海外に住んでた頃はブロンド美女と付き合ってたんでしょうよ。」

「いやさすがにブロンドは…

……」


言いかけてから言い淀む俺に夜璃子は

「昴、チャラ過ぎ。」

と言い放った。



「面目ない…」

なんで俺、夜璃子に謝ってるんだろう…?



「でもなぁ!

俺だって別にいい加減な気持ちで付き合ってたわけじゃない。」



そう。

いい加減な気持ちで付き合ってたわけじゃない。



俺にはそれまで特別な感情を抱くような女の子がいたことがなかった。

だから、ただ単純に俺を好きだと言ってくれる女の子に応えてあげたいと思った。
それで俺もその子を好きになれればお互いにとってベストだと思った。

俺はその時その時の彼女に尽くしてきたつもりだし、本気で好きになろうと努力してきたつもりだった。

けど。
それはどれも実を結ばなかった、というだけで。



しかし結果として、片手に収まらない数の恋愛をしてきたつもりだったけれど、今となってはそもそもそれらは『恋愛』だったと言えるかどうかさえも疑わしい。

だって俺は今まで一度たりとも女の子に恋愛感情を感じたことがなかったんだから。