そんな誤魔化しの生活は彼に崩されていく。
一番壊れていたのかもしれないこの時期に彼は私と付き合い始めたのだから不思議なのだけど。
「切らないで、ゆきが痛い」
彼はよく泣きそうな顔をして言った。
それでも切った。目の前で血をどばどば垂らしたこともあった。止血されても切ろうとするような馬鹿だった。
切りたいけど切ることは間違いだと始めから思っていた。間違いの部分が彼の否定で大きくなっていくのは感じていた。
だめなこと。相手の正解を選択してきた私の根本的な部分が悲鳴を上げた。カッターを持つ手が震えた。切れない。切ることが出来なくなった。
切らなくなった私を彼は喜んで。
私はただ正解だと安堵した。
