クリムゾン・プロトコル

そう静かに言うと、すっと目の前の男の子に近寄った。その首に腕を回して、キスをする。

茶色い髪を目が隠れるくらい伸ばした男の子は、驚きのあまりか最初は硬直していたものの、やがてゆっくりと紅未子の背中に腕を回した。

感触を確かめるように、なめらかな背中に手を走らせて。次第に周囲のことなんて忘れたみたいに、紅未子とのキスに没頭し始めたのがわかった。

周りの仲間の男の子たちも、なかば呆然と、なかば恍惚とそれを見ている。

私は見たくなくて、だけど目をそらせなくて、手で耳をふさいで泣いていた。

嫌だ、紅未子、嫌だよ。そんな簡単に自分を売らないで。そんなに軽く、自分を投げ出さないで。自分より私のほうが大事なんて思わないで。私は紅未子にそれ以上、傷ついてほしくない。

だけど身体が動かない。

男の子の手が、ふいに焦ったように慌ただしく動き、紅未子のタンクトップを胸の上までたくし上げた。紅未子はそれを引き継いで、頭から抜いた。

さらりと髪が揺れて、裸の背中が覗く。

男の子が息をのんだのが見えた。