作家たちの話

「宿題が無くなるのはいいよね」

「命と引き換えにですよ」

空気を読まない発言に、高時が眉間にしわを寄せて言う。

「とにかく……高時が何かしようとするときに現れた。そして、目的ごと消される……」

椿森がまとめる。
目的ごと消される理由は何なのか……。高時を狙うのは何者なのか……。

「心当たりはあるの?」

「あっ、一応霊能者のところに行って聞いてきました」

高時は人差し指を立てる。

「それを先に言えよ」

「えっと……その霊は私を妬んで殺そうとしているんです。赤の他人ですが」

「妬む、書籍化が決定したことでかな?でもその霊は男だよね……珍しいなあ」

高時が書いているサイトは中高生の女子が多い。
女子高生を殺したくなるほど妬む……とても危険な霊であることがわかる。

「うーん、あのサイトを使っている感じはしないんですよね。雰囲気でわかります」

「青白い男からそんなことを感じ取れるのか?」

「感じ取れます。で、その霊から逃げ延びる方法ですけど……」

ポケットからメモを出し、何かを書く。
紙をちぎらずに机に置いた。

「小説家の持ち物を五個集める……」

椿森が声に出す。

「それを家に持って帰れば助かるんですよ。あっメモの切れ端に名前を書いたとかでも大丈夫です!」

高時は、簡単でしょう、と小さく付け足した。

「なんだ、もっと面倒な方法だと思っていたよ」

「これが嘘だったとしても、転売出来ないような物にすれば問題ないな」

「たとえば下着とか?」

「おい!」

机にバンッと手をついた。島矢は苦笑いしていた。椿森は乙女がいることを忘れるな……と呟く。

「集まりそうでよかったです」

「僕は何にしようかな……そうだ!自分の本にしよう」

「壊れたシャーペンでもいいですかね?」

「幽霊に宣伝したり要らないもの押し付けたり……自由ね……」

椿森は鞄の中のくしを思い浮かべた。三十代が持つデザインではないと思っていたそのくしを渡そうとした。

男の幽霊に渡していいのか迷ったが、何でもいいらしいのでそれにする。

「よかったー!ありがとうございます!」

幽霊がいるという妄想にとりつかれたのか、それとも本当にいるのか……。

安心して目を潤ませる高時を見て、悪質な転売屋では無いことはわかる。