作家たちの話

埃が舞う、暗い部屋。木製の家具が多くて、タイムトリップしたような、懐かしい気持ちになる。

右に曲がると居間があり、綺麗な刺繍のテーブルクロスがかかっているちゃぶ台が目に入った。

居間から離れ、玄関に向かい合っている階段を上る。ギシギシと軋む音がするので落ちないか不安になった。

靴下に埃がつく。お母さんに怒られるかな。
左奥の部屋を見てみると、畳の部屋だった。古いドレッサーと車の模型が置かれたタンスがある。夫婦、または兄弟の部屋だったのかもしれない。

でも何で家具を置いたまま家を売りに出したんだろう?まさか夜逃げ!?
他の部屋も気になるので出ていく。出ていくとき、白いワンピースを着た人が見えた気がした。

次は隣の部屋に入る。
風呂場で、脱衣所には服や整髪剤等が散乱している。

風呂場の隣は紙が散乱した部屋だった。


ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……
黒いマーカーか何かで書き殴られた、異様な紙だった。


顔を上げると、白いワンピースを着た女の子が僕を見ていた。

「あああああ!」

すぐに部屋を出て、階段を降りようとした。しかし、女の子がいるので結局右奥の部屋に逃げ込んだ。

「はあっ……はあっ……」

扉を勢いよく閉めたあと呼吸を整える。
僕が座りこんだところには布団が敷かれていた。

そろそろ様子を見よう。扉に近づこうと振り向いたときだった。


血の付いた白いワンピースの女の子が目の前にいた。

「誰か……助けて……気付いて……」

口を動かすと血が漏れていた。お腹のところに大きくて丸い染みができている。

女の子を避け、一目散に逃げる。

家に帰ると、息を切らせていた僕をお母さんは怪訝そうに見た。

「横断歩道の所の古い家……あそこ、誰が住んでたの!?」

「ああ、あそこね……まさか入ったんじゃないでしょうね?」

「入ってないよ!」

早く聞きたかったから嘘をついてしまった。怒られるのも嫌だし……

「あそこはね、強盗殺人があった家なの。結婚したばかりだった上の娘さん夫婦と、学校を休んでいた中学一年の女の子が殺されたのよ。残された両親は自分を責めて、あの家で自殺したって……」

あのごめんなさいと書かれた紙は、残された両親が書いた。そして、あの女の子は気付いて助けてほしかったんだ……

「その子、白いワンピース着てた?」

「そうね。お姉ちゃんとお揃いで気に入ってたみたい。殺された時も何故か着てたみ
たい」

休んだ日、しんどいけど暇だから漫画を読むみたいに、ワンピースを着たのかもしれない。

次の日の帰り道、僕は学校で摘んだ花を家に投げ入れた。