作家たちの話

検察側はやっぱり証拠不十分なところを突いてきた。

いつもの大坂さんの様子や、雲野さんが死ぬ訳ないということ、必死に集めたかけらほどの証拠で押し返した。

一審は何とか勝った。
弁護側はここで慢心した。少ない証拠でも勝てたんだ。

私という秘密兵器を使えば一分で勝てると。

今日一日で全部終わらせようとするから猛スピードで進んでいく。第一審は十分で終わった。

裁判員もこちら側に傾いてきている。この雰囲気は弁護側を酔わせた。弁護側で主に発言する野崎(のさき)さんは、絶対に勝つとまで言ってしまっている。

第二審、序盤は弁護側優勢だったけど、一つトチったことで敗北を突きつけられる事態に追い込まれた。

「それだと、大坂さんが殺害するのは不可能になりますが……?」

この空気を覆せる証拠なんてなかった。
裁判員たちは思い切り検察側に回った。三審はありえない。

馬鹿だなあ。秘密兵器使う前に敗戦しちゃったよ。

冷たい視線が突き刺さる。雲野、それはちょっとひどくない?

負けた方は土下座して謝罪しなければならない。でも、別にいいや。大坂さんは殺してないし。

でも、自殺じゃないんだよね。

雲野が冷たい手で、強く私の肩を叩いた。

ここまで来たら思い出すしかない。雲野が死んだ日のこと。