作家たちの話

「深夜のマフラーと少女」
A子はネットのフリーマーケットで緑色のマフラーと茶色のワンピースを買った。
少し糸がほつれていたためかとても安かった。デザインが気に入ったのでそれを知った上で買った。

修繕し、出かけるときによく来ていた。

着ないときは、背の高いハンガーラックにワンピースをかけていた。ワンピースのハンガーには緑色のマフラーを巻いていた。

ある日、深夜に目が覚めた。寝ぼけていたからか、ハンガーラックがワンピースを着ている人に見えた。

こんな時間に起きてしまっては朝起きるのが遅くなってしまう。目を閉じ、眠るのを待った。
やがて布団の暖かさを感じるようになると、安心して眠りにおちた。

朝起きるといつもより少し遅かった。しかし、これくらいなら問題ない。
朝食をさっさと済ませ、化粧は手を抜けば、家を出た時間はいつもと同じだった。

仕事が終わった後、レストランで友達と夕食を食べていた。

「そういえば、A子って前にすごい安い服買ってたよね?」

「うん」

「あれ、いわくつきなんじゃないの?」

怖い話好きのB子がそう言った。

「でも糸がほつれてたり、使用感があったから安かったんだよ」

「本当にそれだけの理由で安くなる?」

「糸ほつれてたらあの値段になるでしょ。何でもかんでも怖い話に結び付けない!」

C美がそう言ってくれたおかげで少し落ち着いた。
いわくつきなわけがない。そんなのフィクションの中だけに決まってる。
A子はそう言い聞かせた。お気に入りの洋服を捨てるのは嫌だったのだ。