「Qトンネル」
大学卒業を控えた六人組は、最後に皆で出かけることにした。
藤多の車に乗って、人が少ない村を越え、有名な心霊スポットのQトンネルに来た。

Qトンネルは封鎖されているが、木の板や鎖で閉じているため年月が経った今では朽ちているだろう。鎖を切るための道具も持ってきていた。

宮川が道具を使って鎖を切る。宮川が車に戻ったのを確認すると、木の板を飛ばして進んだ。

バキッと板が割れ、車体に乗りかかる。しかし車のスピードで振り落とされた。

「キャー!」

「うっわすげー!」

車内は盛り上がり、運転していた藤多にも絡み始める。藤多はトンネルの中を見るため、スピードを落としていた。

Qトンネルは、工事の時に事故が多発し多くの作業員が犠牲になった。
その後も自殺があったりと幽霊が出てもおかしくない場所だ。

「なんかヤンキーの落書きとかある」

「萎えるわー」

こういう場所には不良があつまるらしい。

トンネル内では車のライトに頼るしかない。使われている大きいトンネルなら照明が側面についている場合があるが、使われていないので点いていないのだ。

「何も起きねーな」

宮川がつまらなさそうに言う。

「電話かけて見たら何かあるかな?」

そう言ってスマホを見ると圏外になっていた。

「やばーい!」

「キャー!」

女子同士でもたれ合っている。そんな中、宮川はある異変に気付いた。

「何か音しねぇ?」

「何も聞こえんけど……?」

ヒタヒタといった感じの音が耳から離れない。宮川は耳を澄まして聞き続けることにした。