ランプを机に置く。真っ暗な部屋で顔が照らされている。

「雰囲気出てきたね……」

「島矢、何を楽しそうにしている」

そう言う椿森も楽しみにしていた。

「怖い話って……百物語!?耳袋!?」

高時が手をあげて質問する。

「いえ、今日はただ自由に話すだけです。同じ人がずっと話したって構わないし聞くだけでもいいです。百物語のようにルールはありません」

「何だよそれ」

「ルール決めたら面倒じゃないですか」

高郷はそう言って笑っている。石蔓はまあそれでいいか、と思った。

「あっでも、出来れば実際にあった話がいいですね」

「実際にあった話?難しいぞ。怖ければ何でもいいだろ」

「実話の方が集まりやすそうじゃないですか」

石蔓は、もうどうにでもなれと思った。

「集まる!?いいですね!実話バンバン話しちゃいますよ!」

高時が机を叩いて言う。

「お前泣いても知らんぞ!」

石蔓がそう言うと周りが笑った。

「もう不思議な話なら何でもありでいいかな。怖い話が続くと誰かさんが騒……」
「だから、ビビリ扱いはやめてください!」

高時は頬をふくらませた後、そっぽを向く。

「誰から話します?」

「私から行こう」

全員、椿森に注目する。

「これは、戦後間もないころの話だ……」