長針は六、短針は五を指していた。
高時は寝ぼけながら机の上の物をリュックサックに入れる。

「あれ、高時さん起きたんだ」

「はい、早く解放されたいんです」

「もしかして帰るの?早くない?」

「早いくらいがいいんです」

高時は入れ終えて、リュックサックを背負った。

「あ!、部屋に忘れ物!」

バタバタと階段を上る。
その音で二人起きた。

「誰だよこんな時間に……」

「暴れるのなんて石蔓さんか高時さんしかいませんよね……」

部屋から出てきて、リュックサックを背負った高時を見た。

「あれ、起こしちゃいました?」

「ああ……何だよもう帰るのか?」

「はい」

部屋に残した物を回収し、高時は怖い話をした机のちかくに行く。

「ありがとうございました!」

「楽しかったよ。またどこかで……」

「心配だし送るぞ」

「気をつけて。無事を祈るわ」

「僕が言い出したことが人生に影響するとは……凄く、特別な日でした」

高時は手を振り、玄関に向かう。

これで終わるはずだった。

「あ!そう言えばあのシャーペン、割れてて危ないと思い捨ててました!別の物取りに行ってきます!」

高郷は大変な忘れ物をしていた。慌てて部屋に戻る。

「俺もこの格好じゃ、外に出られないな。着替えてくる」

「私は我慢出来ない。寝るわ」

「僕もー」

高時だけがここに残ることになった。
皆、朝だし同じ建物の中にいるから大丈夫、だと思っていた。

「高時さん、持ってきました!」

「全部揃ったし今度こそ行くぞー」

二人が階段を降りてきた。
しかし、高時の姿が見えない。

「おーい、高時ー」

一階を探し回ったが見つからない。外で待っているのかもしれない。
しかし、外にもいなかった。高時の部屋にもいなかった。

「消えた……?」

高時の携帯に電話をかける。

「使用されてないって……どういうことだよ!」

電話も繋がらない。

高時は消えた。こんなことをするのはあいつだけだ。

石蔓は外に出て警察を呼んだ。
高郷は寝ている二人を起こして外に連れていった。

四人は警察が来るまでガタガタと震えていた。
さっきまで自分達がいた洋館には、恐ろしい霊がいる。

次は自分達かもしれない。