作家たちの話

一年後、同じ場所で舞踏会が開かれた。そこでまたヴィオラに出会えた。ヴィオラは同じ服を着ていた。

「ヴィオラ!」

アルバートは名前を呼び、駆け寄った。ヴィオラは困惑していた。また話しかけてもらえるとは思っていなかったからだ。
アルバートは気にせずヴィオラを誘い、踊る。アルバートは周囲の目も気にしていなかった。

一曲踊り終え、ヴィオラを見つめる。すると、母親が血相を変えて走って来た。

「こっちに来なさい!」

腕を掴み、どこかへ引っ張って行く。

「ヴィオラ!」

「アルバート……!」

二人は手を伸ばす。アルバートは母親の腕を引きはがそうとするが、普段の様子からは想像できないほどの力で引っ張られる。
ヴィオラは追いかけてこなかった。

タウン・ハウスに戻され、怒鳴られた。

「一人で踊る真似なんて……みっともない!」

「一人!?あの時はヴィオラと踊っていた!見えなかったのですか!?」

「ヴィオラ!?」

真っ赤になって怒っていた母親は、今度は真っ青になる。そして、年配のメイドを呼んだ。
年配のメイドはヴィオラについて話す。

ヴィオラはその昔、病気で死んでいた。まだ未練があるのか舞踏会に出て、自分のことが見える男と踊っているらしい。

今夜は部屋から出てはいけない。部屋から出ず、朝を迎えることができたらヴィオラは諦めるという。

すぐに部屋に入れられ、鍵を閉められる。しかし、アルバートは窓を開けていた。

舞踏会が終わる頃、ベッドで眠りかけていたアルバートの近くにヴィオラがいた。すぐに目を開け、起きあがる。

「窓を開けたら、入れてしまいますよ?」

「構わないよ」

そう言うと、ヴィオラはアルバートの首に手をかける。

「この先、得るはずの幸せを失っても?」

「もちろん」

アルバートはヴィオラの手を取る。

「死後の世界に僕も連れて行ってほしい」

ヴィオラは窓辺に連れて行く。窓からはさっきまで舞踏会をしていた場所、そのすぐそばには時計塔が見える。

窓から二人で飛び降りた。ふわりとヴィオラのドレスが広がり、くるくると落ちていく。
逆さまの時計塔が鳴り、一時を指していた。