作家たちの話

「これが呪文、唱えて」

真弥が紙切れを渡す。
そこにはよくわからない呪文がひらがなで書かれていた。

真弥の真似をして唱えながら歩く。
覚え始め、紙から目を離した時、牛の首の後ろを歩いていることに気づいた。

唱え続けているからか、襲ってこない。
雑木林の近くに来た。その時、牛の首の前に立ちはだかる人がいた。

「やっ!」

彩芽は牛の首にお札を投げつけた。牛の首は苦しむ。
そして、逃げる彩芽を追いかけた。

雑木林にさしかかった。

彩芽は立ち止まり、牛の首が襲いかかる。

直後、牛の首が吹き飛ばされた。
おばあさんがやったらしい。

彩芽は牛の首が吹き飛ばされた方に向かう。私たちも後を追った。

「誰か、扉を開けて!」

倉の扉は閉まったままだった。
私とお姉ちゃんは全力で走る。

「せーの!」

二人で扉を開けた。
彩芽がお札を叩きつけ、吹き飛ばされた牛の首は中に入った。

ガタンと扉を閉め、お札をはり付けた。

「これでおしまい」

彩芽は額の汗を拭う。
私とお姉ちゃんは息を切らせ、座り込んでいた。

「皆、よくやった」

おばあさんが向こうから歩いて来た。初めて笑顔を見せた。

「時間が経つにつれ、恨みは風化していく。そして、真の眠りにつく」

「よし、これを記念して、明日の朝は食べきれないくらい作るぞー!」

「いやいや朝ご飯作るのは真弥じゃないだろ。それに朝から大盛はきつい」

平和が戻ってきた。
平和な田舎もいい。やっとわかってきた。

「あの扉を開けられるのは、特別な力を持った者だけじゃ。今開けてくれた人は恐ろしさを知っているからもう二度と開けない。そして他に開けられる者などそうそういない。これで終わりじゃ」

開けられるのは、特別な力……もしかして、私かも?
私、あの倉を守ろう。真の眠りにつくまで。特別な力を持っているなら……。

壊されたりしないように、人が近づかないように……。

「あれ、誰かいないよ?」