作家たちの話

食欲がわかず、夜ご飯もあまり食べられなかった。
縁側で夜風に当たって、頭を空っぽにした。

早くこの不安から解放されたい。
縁側は自分の部屋と同じくらい安心する。クーラーとは違う涼しさが好きだ。

ぼんやりと、風鈴の音に耳を傾けていた。


おぉ……。うぉ……。

低い声が聞こえる。地の底から響くような……。
ざりっ、ざりっ……。

ようやく恐怖を覚え、縁側から離れる。
ガラスの窓を閉め、障子も閉める。

どうしよう……どうしよう……!
この部屋からも出ようとした時だった。

「うぉぉぉ!」

障子にぼんやりと角がうつった。

「キャー!」

足に力が入らなくなった。
這いつくばって、仏壇に手を伸ばした。震える手で鈴を鳴らす。

「ご先祖様、助けてください助けてください助けてください……!私まだ死にたくない!」

涙が畳を濡らし、心臓はこれまでにないくらい動いた。
誰でもいいから助けて!

ドアが開く音がした。誰かが入ってくる。

バタバタとお姉ちゃんが走り、窓の外に話しかける。

「お願いします。この子は襲わないでください。あなたたちの子孫が苦しまないよう努力します。病気で殺されないように、薬を開発することもできます。もう二度と飢えない世界をつくれるように……」

影は遠のいた。
足音は小さくなり、消えていった。

「お姉ちゃん……ありがとう……!」

引っ越しに反対したり、変わり者のお姉ちゃんが嫌になる時もあった。けど、お姉ちゃんは私を助けてくれた。
もう嫌になんてなれない。本当に、ありがとう……。

「えへへ、うまくいって良かったよ」

お姉ちゃんは顔を赤くして、ずれた眼鏡を直した。
障子を開けると、窓ガラスにヒビが入っていた。

本当に危なかった……!もしお姉ちゃんが来なかったら……。

呼び鈴が鳴って、玄関まで走る。

「牛の首を眠らせに行くよ!何も持たなくていいから!」

真弥が私の腕を引っ張った。彩芽はどこ?

私たちは夜の道を駆けた。