作家たちの話

雑木林で、ガサガサと音がした。

「うっ牛の首!?」

彩芽ちゃんが後退りした。

「大丈夫だ、夜には現れないとおばあさんが言っていた」

「安心しな。私じゃ」

木の間から姿を現した。
おばあさんは昨日とは違い、綺麗な紫色の着物を着ていた。

「あの、私たちは牛の首について調べていて……」

「そうかい。ちょうど私も、牛の首の記録を探していたところじゃ。名前は?」

「真弥です」

真弥に続き、おじさん、私、彩芽、お姉ちゃんが名前を言う。

「この林の奥に倉がある。そこに牛の首の記録があったはずじゃ。取り出すのを手伝ってくれんか?」

「はいっ!」

真っ先に彩芽が返事した。
草をかき分け、枝の下を潜り抜け、ボロボロの倉にたどり着いた。

おじさんが開くと、中から埃が流れ出てきた。
咳き込みそうになった私たちは少し離れる。

「たしか、一番前にあったはずじゃ……よっこらしょっと……」

私と真弥が運ぶのを手伝う。古いつづらの中から一番上の本を取り出す。
この形……下手したら江戸時代の物かもしれない。

本を開いて、目に飛び込んだのは……。

「ひぃっ!」

彩芽が驚いて尻餅をついた。真弥は手が震えていた。

痩せ細り、骨と皮だけになったような人たちが、殺された牛を取り囲んでいた。
もう一枚めくると、もっとショッキングな光景があった。
思わず閉じてしまった。

「飢えた人々は牛も食べたのじゃ……犬も猫も……」

「飢饉、ですか……」

お姉ちゃんが聞き慣れない言葉を口にした。
私たち三人は本を開くことが出来なくなった。

おばあさんたちは本を見ては横に積んでいた。

「あったぞ!これじゃ!」

おばあさんのところに集まった。そこには難しい文字が書かれていた。

「やはりか……この倉に向かい合っている倉。そこに、牛の首を眠らせればいいらしい」

確かに、かなり離れた場所に向かい合っている倉があった。
昔、お姉ちゃんと遊んでいたときに見た気がする。

「夜が勝負か……」

本を見るおばあさんの視線は鋭かった。

眠らせる方法が書かれている本以外は元に戻した。

夜、何かが起こる……。胸騒ぎがした。