作家たちの話

牛の首。それは、人が飢えた時と豊かになったときに現れる。

頭から上が牛で、夜な夜な歩き回って人を殺す。
ある時は首を絞め、ある時は首を切り……銃で頭を撃つこともあった。

そして、死んだ人間に牛の顔を被せる。

私が聞けたのはここまで。途中で、後から教えるから帰りなさいと言われてしまった。

家に帰ってすぐお姉ちゃんに教えた。お姉ちゃんはここが大好きで、古い話や不思議な話が好きだ。

お姉ちゃんは落ち着いて、まっすぐ私を見ていた。相づちを打って、真剣に聞いていることがわかる。

いつもなら、明日調べに行こー!とか、ザワザワするねとか言っている。
やっぱり人が死ぬ話だから抑えているのか。


縁側に寝転がり、昨日のことを思いだしていた。
お母さんは何も教えてくれなかった。お姉ちゃんもお母さんから聞き出そうとしなかった。

どうすればいいのかわからず、不安な夜を過ごすのかな。
そう思っていると、呼び鈴が鳴った。起き上がって玄関に向かう。

「深咲ちゃんはいますか?」

「深咲ー!」

「はいはーい」

真弥と彩芽とおじさんが来た。

「牛の首のこと、調べにいこう」

真弥がカバンからメモ帳を取り出した。

「いいけど……おじさんは帰るんじゃ……」

「おとなしく帰る訳にはいかないんだ。同級生が殺されたからな……」

「次の日も休みだからってここに残ったんだよー」

答えは決まっている。

「行くよ。ちょっとまって、お姉ちゃんにも聞いてくる」

こういうとき、お姉ちゃんは役に立つ。
お姉ちゃんも、もちろん行くと言ってくれた。

ジワジワ暑い夏、ここの嫌なところを一つ解決するために歩き出した。