作家たちの話

暗い田舎道を走っていると、ライトが銀色の車を照らした。
銀色の車は動いていない。

「動く気配はないな……仕方ない、迂回するか」

おじさんがため息をついた時、彩芽が指差した。

「ちょっとまって!エンジンかかったままだし、何かあるのかも!」

彩芽が車から降りた。
おじさんは降りるんじゃないぞ、と言った。けど、ばれないようにゆっくりついていこうとした。

「キャー!」

彩芽の悲鳴が響き、思わず車に戻ってしまった。
それでも気になり、彩芽の所に駆け寄った。

顔はよく見えないけど、男の人が一人ぐったりしていた。

怯える彩芽を車に連れていき、背中をさすった。

「彩芽ちゃん、大丈夫!?」

「う……うぅ……」

何を見たのか想像はつく。
真弥が車の中から小銭を見つけ、自動販売機でお茶を買ってきた。

「ありがとう……」

彩芽は少し落ち着いたけど、ボーッとどこかを見つめている。
しばらくして、パトカーや近所の人が集まってきた。

野次馬に混じっていたお母さんに怒鳴られた。
真弥も同じだった。彩芽だけはそっとしておくことになっていた。後日怒られるけど。

「彩芽、何を見たのか教えてくれる……?あっ嫌だったらいいよ!」

帰る前に真弥がそう言うと、彩芽はポケットの中に入っていた筆ペンで、チラシの裏に何かを描く。

「牛……?」

首から上が牛になっている人間だ。

「牛の首じゃ!」

周りがざわついた。
白髪で、古い着物を着たおばあさんがいた。

「牛の首が現れたのじゃ!」

「何ですか、牛の首って……?」

「ここに昔からいる、忌まわしい存在じゃ……。付近の者を集めなければ……!」

警察は相手にしなかったけど、町長さんはおばあさんのことを知っているらしく、会館に集まって欲しいと言った。

「深咲、あんたは帰りなさい」

「それは嫌。私だって側にいた。お願い、私も行かせて!」

私は拳を握りしめた。このままおとなしく帰る訳には行かない。

「いいぞ、多くの人が知った方がいい。このくらいの歳なら理解できる……」

おばあさんはそう言って、ゆっくりと人の流れに消えていった。

そのおかげで私は話を聞くことができた。