作家たちの話

「舞塔会」
舞踏会でアルバートは気になる女性を見つけた。壁際に待機している、壁の花だ。
近づいてみると、彼女のドレスは埃っぽく綺麗な桃色の布も茶色くなっている。どうしてこんな服を着ているのか不思議に思った。

服は古かったが、顔は整っている。少し悲しそうな表情で肌が青白いので心配になった。
勇気を出して話しかけてみた。すると、驚いた後微笑んだ。

「私に……気付いて下さるなんて……」

影が薄いのだろうか。誰も彼女を相手にしていなかった。自分が気付いたのも舞踏会が始まってから大分経っている。
彼女の名前は、ヴィオラという。

話してみると二人は意気投合する。もう、ヴィオラ以外と踊りたくないと思った。
この最後のワルツが終わった。すると、ヴィオラはすぐに走り去ってしまった。

「待ってくれ!」

引きとめようとしたがいなくなっていた。立ちつくすアルバートを参加者たちは怪訝な顔で見た。