作家たちの話

五日経った。あの家に誰が住んでいるかはまだわかっていない。
ただ、子供がいることはわかった。夜に笑い声が聞こえたり、玄関の横に子供用の自転車が置かれていたからだ。その自転車も雨ざらしになっていて、色褪せ、ボロボロだった。

家の掃除を終えた清乃は、ふと思い立って家を出た。外は曇り空だった。空き地があり、地味な色の家が並ぶ住宅街は見ていても楽しくない。
友達からはかっこいいと言われた家だ。しかしこんな日に見ると気分が落ち込みそうだ。

あてもなくぶらぶらと歩いていると、赤信号に止められた。
横断歩道の向こうに学校があった。あの家の子も、この学校に通っているのかもしれない。
パッと青に変わる。清乃は横断歩道を渡り、校門横の漢字を読んだ。

「龍川小学校……」

校舎を見ると、真っ白な壁だった。塗り直したのか、出来たてなのか。
近所の家の子達もこの学校に通うのか……。

「清乃」

聞き覚えのある声だが肩を震わせた。

「なんで驚くんだ……」

「ここにいるとは思わなかったから……」

敦はコンビニに行っていた。その帰り道に清乃を見つけたのだ。

「ここ、俺の母校だ」

「え、そうなの?」

敦の実家は他県にあり、ここに住んでいたなんて聞いたことがなかった。

「五年生の時に転校したんだよな……そうか、新校舎を建てるって言ってたな。よし、俺ちょっと先生のところに行ってくる!」

「え?」

敦は校門をくぐり、行ってしまった。新校舎へは行かなかった。

まだ使われていないのか。
清乃は近くに誰もいないのを確認して、新校舎に近づいた。
靴が置かれていない下駄箱が並ぶ。清乃のヒールの音が響く。
私の時も新しい校舎だったらよかったのにと思った。壁には落書きやヒビ、トイレは汚いし、いたるところにに埃がたまっていた。

小学校を思い出していると、薬指に違和感があった。
見てみると、指輪が無くなっていた。

しゅっと誰かが横を通った。
背丈から、子供であることは間違いない。清乃はあの子が取ったと思った。

清乃は靴も脱がずに子供を追いかけた。