とある町の洋館に、小説家たちが集まっていた。招待状が来て、面白そうだと思ったらしい。

他の小説家と共に五日間泊まる。

この企画は誰が考えたのかは分からない。手紙に差出人の名前は書かれていなかった。そんな怪しい企画でも六人集まった。

今は一室に三人が集まって窓を拭いている。今日は四日目、出ていく前に綺麗にしようということで自主的に掃除していた。

「どうですか!」

「綺麗になってると思うよ」

「へへっ、ありがとうございます」

高郷 光太(たかさと こうた)は憧れの人と話せて嬉しそうにしている。

高郷は有名な賞を受賞した期待の新人だ。二十四歳で、茶色の短髪、パーカーが好きで明るい性格だ。体育会系と思われがちだが文系だと言っている。

高郷の憧れ、島矢 要(しまや かなめ)はベストセラー作家だ。年齢は二十六歳。整った顔立ちのため女性からの人気も高い。

「ふぅ~これでいいかな」

高時 羽芹(たかとき ぱせり)が額の汗を拭う。
高時は五人のなかで唯一本を出していない。まだ売られていないのだ。本の発売は一週間後だった。

そして、唯一のケータイ小説家だ。年齢は十七歳、五人の中で一番若い。

五人が最初に自己紹介をした時、招待状を送ったのは高時じゃないのかという話が出た。

無名の若い高校生が憧れの作家に会いたくてしたのではないかと石蔓 正治(いしづる せいじ)に言われ、違います!と言っていた。

窓の掃除が終わった三人は道具を片付け、手を洗い、掃除していた部屋を出る。昼食は、残りの二人が用意している。

最初、ちょうど五人だから一人づつ担当する予定だった。しかし、料理をまともに作ったことが無い高時はみそ汁もどきを作るのに20分かけ、結局二人一組で担当することになった。