どうして気がつかなかったんだろう。

クラスの連中や部の奴らだけじゃない。

教師であり、俺の元顧問だった伊達も。


俺の敵だったんだ。


「なんなら、あのこと、こっちから親父さんたちに連絡することもできるんだよー?それに、お前はスポーツ推薦でこの学校に入ったんだ。たとえ成績優秀だとしてもバスケを辞めた今、俺の言うこと少しくらい聞いた方が身のためだと思うけど」


伊達は「ね、桜庭くん」とわざとらしく俺の名前を付け加えると、いつもの爽やかな顔で笑った。