一匹少女が落ちるまで



今なのかもしれない。


嘘をついて生きている自分を変えるのは。


俺は弁当箱を拾って、今度はおかずを拾い集めている紫月の方へと向かう。



「…理央」



彼女は、隣で同じようにおかずを拾い出した俺を見上げてそう俺の名前を呼ぶ。



心地いい。



こんな状況だって言うのに。


彼女に名前を呼ばれてそんな風に思った。



「…桜庭くん…何してるの」


女子の1人がそう俺に聞いた。


「…雨宮さん大変そうだから手伝ってるんだよ」


そういう俺の引きつった笑顔は誰にもばれていなかっただろうか。


声は震えていなかっただろうか。


人と違うことをするのはすごく。


やっぱりすごく怖い。


「…ありがとう」


そんな俺の不安を、紫月はそのたった一言で消し去ってくれた。