一匹少女が落ちるまで



「理央、もう本当にバスケ出来ないのか?」


後ろの席の山岡がそう聞いてくる。


あんなことを言っておいて、どういうつもりなんだ。


「うん。もう出来ない」


『特にお前とは』

そんな言葉を飲み込んで、俺は変わらない明るい声で言う。



「そっか…本当に…戻ってこないんだな」


落ち込んでるように聞こえるその声だけど。

きっと心の中では笑っているんだろう。


そう思うとすごく気持ちが悪くて、また胸が痛くなって。



「今までありがとうな、山岡」


それでもまだ桜庭くんを演じる俺。


唯一救いなのは、お互い顔が見えていないと言うこと。