一匹少女が落ちるまで



理央のその思わせぶりな態度は直したほうがいいところだ。


誰にでも優しく親切にしているつもりなのかもしれないけど…。



『…怒った?』


「…別に…」



顔が見えていなくてよかった。


こんな顔、とても見せられない。


『…あのさ、紫月』


私の気持ちなんて全然わかってくれない理央はいつものトーンよりも少し優しい声で話す。


『…好き』



「…え…?」


理央の言葉に思わず聞き返す。



その二文字を聞くだけでまた速くなる自分の鼓動。


『…紫月のこと好きだから、だから声が聴きたくなった』


「……」


理央は何を言っているんだろうか。


からかってる?


またあの頃のキスみたいに。



ふざけているの?



「…それって───」


────ガチャ


『しーねーちゃんっしーねーちゃん!大変大変!』




突然部屋のドアが開けられて聞こえた慌てた声に、私はとっさに携帯を耳から離して、そのまま通話を切ってしまった。