一匹少女が落ちるまで



「余裕だな。親父さんに嘘がバレても俺の心配するなんてよ」



理央はもう、知っているだろう。


俺が理央の嘘を親父さんに話した張本人だってこと。



「…いや、山岡には感謝してるよ。自分では絶対言えなかったから。ちゃんと父さんと話せてよかった」


嘘だ。


「相変わらずお人好しだな」


理央の兄貴が家に引きこもってることも。

理央の家族全員が親父さんに怯えてることも。


俺は全部知ってた上で話したのに。


感謝なんてしてるわけない。



「この間、うちに父さんの昔の仲間って人が来てさ」


「……」



「大人になってお互い結婚して子供ができてもあんな風に『仲間』で居続けられるってすげぇなって思ってさ、…俺も、山岡とちゃんとそうなりたいな、なんて」


そういって笑った理央は、ゴールに向かってボールを投げた。



────シュッ



投げられたボールは、綺麗にゴールに入ってスッとまっすぐ落ちて来た。