一匹少女が落ちるまで



────ガンッ


「…なまってんな、体」



ボールがゴールの縁に当たる音がして、つい声を漏らしてしまう。



そんな俺の声に彼は驚いた顔をしてこちらを見ていた。



本当、ムカつくやつ。



「…山岡。来てくれたんだな」


「別に。忘れ物取りに来ただけ」


見え透いた嘘をつくことは、今の俺にできる唯一の強がりだ。



「学校、来ないの?」


理央は、バスケットボールを手で触りながらそう聞く。



赤羽も理央も。


なんなんだよ。


学校に来いって、熱い新米教師か。


「部活もずっと休んでるみたいだし、俺みたいになまるよ」


「フッ」


呆れて笑いが出てしまう。


どんなに追い詰めたつもりでもやっぱり難なくなんでもこなす理央には痛くもかゆくもないみたいだ。



人のこと心配できる状況じゃないはずなのに。