「新山さん…」


「雨宮さんの方から歩み寄ってきてくれて、私のこと抱きしめてくれたのだって、ちゃんと覚えてるのに…私は雨宮さんの気持ちよりも自分の気持ちを優先したっ、最低だったって分かってる。でも、信じるのが怖くて…だけど、今は…信じたいが大きいっ」



頭を下げたまま、きっと涙を流して話している新山さん。



今まで、周りの世界を無視して生きてきた私を、信じたいなんて言ってくれている子がいる。



夢でも見ているんじゃないか。


そんな気持ちでいっぱいだ。



「自分から雨宮さん裏切っといて、利用しといてこんなこと言うのが最低なのはわかってる…だけど」



私のことでこんなに必死になってくれる人が、


こんな近くにいただなんて。




─────ギュッ



私は、彼女の両手を優しく両手で包み込んだ。