一匹少女が落ちるまで



「お揃いの何かを買おうとか、遊ぶたんびにプリを撮ったり、服を買ったり、ご飯食べたり…誕生日プレゼントとかイベントの材料とか…。勉強する時間が削られるのもすごくストレスなんだけど、それよりもお小遣いが足りなくて、ママの財布からお金を抜いたことも…何度かあって。きっとママ、気づいているんだろうけど、聞かないでいてくれてて…それがすごく…」




いつも笑顔で、小柄で可愛らしいと思ってた彼女は。



その小さな体に、たくさんの悩みを抱えて、大きな責任感を持っていた。


「時々ね、すごくひどいことを思うの。みんな平等じゃないのがすごく嫌で嫌で。貧富の差は日本でも当たり前で」


『当時の人はみんな苦しかったから頑張れたんじゃないかって…』



平和学習の時、新山さんはそんなことを言っていたっけ。



「いっそのこと、全部なくなっちゃえばいいのにって…そんなことを思う自分が…1番嫌で…」



私には、彼女の気持ちを全部わかってあげられなくて、彼女のために金銭的な援助ができるわけでもない。



だけど…。




「…ごめんね、ごめんっ。泣くつもりじゃなかったし、こんなこと雨宮さんに愚痴るつもりもなかったんだけど…私」



「頬につたったら拭うようにして」


「……えっ」


「涙。翌日腫れちゃうのは、涙を拭こうとまぶたまで強く擦っちゃうのが原因だから。だから、頬につたった涙だけ拭くようにして」



気付けば私は立ち上がっていて、薄暗い部屋になれた目でテッシュを数枚とってから彼女に差し出した。