「桜庭なら、角煮まん食べに向こうの店に行ったけど」
ひょこっと隣の商品棚から顔をのぞかせた赤羽くんが、女子たちにそう言った。
「え、うそっ」
「早く行こっ」
女子たちは顔を見合わせて、慌ててお店から出て行った。
やっぱりすごく人気だな…理央。
「桜庭も罪な男だよな。もっと無愛想にしてれば好きでもない女がまとわりつくことなんてないのに」
「……」
そうだけど、きっと理央にはすぐに自分を変えられない理由があるんだ。
きっと。
「助かった…赤羽」
奥にいた理央たちも戻ってきて、4人で固まる。
「桜庭くん、自分の名前が女の子たちに呼ばれた瞬間、いきなりお店の端まで行って屈んで隠れるんだもん。びっくりしちゃった」
と新山さん。
「新山が思ってるより、王子様じゃないからな桜庭は」
「余計なこと言うなよ赤羽」
理央と赤羽くんはボソボソと言い合いを始めるけど、そこには始めの頃と違った何かがって。
2人の中が前よりも確実に深くなっているのがわかった。



