一匹少女が落ちるまで


【side 紫月】


「なんか…修学旅行1日目で平和学習って、初日からテンション下がるよね…」



平和記念館を周っていると、後ろからそんな声が聞こえた。



そうかもしれない。


人間の汚いところとか、無力なところとか。


そういうのを写真や経験を通して痛いほど知ってしまう。


ある意味、見て見ぬ振りをしてきたものをこの空間にいる時だけは感じていないといけない。



だけど私は…。



「私ね、平和学習って結構嫌じゃないんだよね」


「……」


私の隣を今まで黙って歩いていた新山さんが初めて口を開いた。



「あ、ごめんなさい…変だよね。みんなブルーになるよね普通」


慌ててそう言った新山さんに、私は首をかしげる。



「変、じゃないと思います。私も嫌いじゃないので」


「本当?よかった〜!…なんかね、私1人の力で世界平和なんて叶えられないんだけど…。今こうやって生きてるから、出来ることは一生懸命したいなって改めて感じさせられるというか、ここにいるみんなが一瞬でもそういうことを考えてる時間なんだと思うと、嬉しくなるっていうか…」