一匹少女が落ちるまで



俺は記憶を辿る。


俺が…紫月の手を握った時…。


「あっ…」



『誰かに見つかりそうになったら、机の下に隠れるといいですよ』


前に、人目を気にした俺を紫月はそういって守って、安心させてくれたことがあった。


それで俺は…申し訳なさとかそれより大きい感謝が溢れて…紫月の手を握ったんだっけ。



紫月は今、それを…俺に?


「嬉しかったです。理央が思ってるよりずっと」


「紫月…」


「ああいうグループ決めとか…すごく嫌いで。みんなが私を嫌っているのは知ってるし、それをより思い知らせるというか…でも、今回は理央のおかげで、修学旅行がちょっと楽しみに」



紫月は他の人と違うとか俺より強いと勝手に思い込んでしまっていた。


そうじゃなくて。


紫月も、他の誰ともそんなに変わらない1人の女の子だったんだ。