一匹少女が落ちるまで

【side 紫月】


ついにやって来てしまった。


修学旅行班決めの時間。


担任の伊達先生は「決まったら呼んでくれ」とだけ言って、教室を後にした。


…はぁ。


クラス全員が立ち上がり、次々と輪を作っていく。



私は、ひたすら本のページをめくって、物語に必死についていこうとする。


修学旅行なんて行かない。


この時間さえ、切り抜ければ後は…。


後は…。


「桜庭くん!一緒の班になろー?」

「違うよー!桜庭くんは私たちの班なの!」



あぁ。


なんで。



理央の名前が呼ばれるたびに、現実世界へと引き戻される。


「桜庭くん、先約あるの?」


「じゃあ、一緒の班じゃなくてもいいから、自由行動一緒にするっていうのはどう?」



女子たちが次々と理央に話しかけて、当の本人の声は彼女たちの声にかき消されて聞こえない。



どうでもいいのに。


本当にどうでもいいのに。


聞こえちゃう。