一匹少女が落ちるまで


【 side 理央】


最近、どうも誰かに見られている気がする。


授業中も昼休みも。


「桜庭くーん!修学旅行の班なんだけど、私たちの班に入ってくれるよね?」



お昼休み、俺にそう話しかけて来たのは、明るくフワッと巻かれている髪を揺らした城ヶ崎。



相変わらず、肌も透き通るように綺麗だし、目だって大きくて、細く整った鼻筋の彼女。



でも…。



今の俺にとっては何も魅力的に感じない。


それよりも…。


俺は城ヶ崎に話しかけられているにも関わらず、離れた席で本を読む紫月に目線を映す。



「当たり前だろ。なぁ、理央」


俺の肩に手を置いてそう言ったのは、山岡。


肩に山岡の熱を感じながら、俺はまたあの時の山岡のセリフを思い出しては、ムカついて、その気持ちを押し殺す。