(パーティー直前、僕とギィとそのほかの踊り子を務める奴隷たちは皆、大広間に集まって支度をしていた。)

ギィ「イリア、お前は辛く無いのか?
ここまでお側に仕えて来たのは俺たちで、あいつらの全てを知っているのも俺たちなのに、どうして突然現れた奴なんかに愛する人を取られなきゃいけないんだ。」

イリア「僕たちは奴隷だ。
彼女たちは王女なんだ。
どう足掻こうと届かない。」

ギィ「だとしても俺はここまでの人生をかけて愛して来た女を簡単には諦めない。
何がなんでも手に入れる。
欲しいものはただ見ているだけじゃ絶対に手に入らない。
ただ手をこまねいて見ているなんて耐えられない。」

イリア「僕にも君のような貪欲さがあればきっとこんな思いはしなくて済んだんだろうね。」

ギィ「俺、今日あいつに俺の気持ち告白することにする。
俺には時間がない。
あいつだってもう数年後には婚約してしまうかもしれない。」

イリア「あのお方はプライドが高いからなぁ。
うまくいくかわからないぞ?」

ギィ「いや、うまくいく。」

使者「お前たち、そろそろだ。」

(華々しいパーティーの幕開けだ。)