「朝倉唯月くん?」


差出人には家族全員の名前が書いてあって、いつきくんが一番最後になっていた。漢字で『唯月』と書くんだ。


「そうそう、朝倉さんちの唯月くんね」


「へー、今もここに住んでいるのかな?」


「どうだろうね。気になるなら手紙書いてみたら? 幼稚園の時は実里も唯月くんに手紙あげていたしね」


「えっ? 何書いていたの?」


「同じようなことよ」


母は笑いながら、また雑誌を読み出した。

同じようなことって、好きとか書いていたってこと?

5才の子が書いたんだから、母が言うようにかわいいけど、今となっては恥ずかしい過去だ。

唯月くんは処分してくれているといいな。

手紙か……あまり書くことがなかったけど、書いてみようかな。今、唯月くんがどうしているのか、どんな男の子に成長したのか気になる。

「元気ですか?」と書いてもおかしくないよね?

大丈夫かな?


母から2枚のハガキを預かって、自分の部屋に戻る。